「血管再生を促すタンパク質を体内局所で徐放する超分子ペプチドゲルの開発」―亜急性期脳梗塞に対する細胞フリー再生治療への期待―
「血管再生を促すタンパク質を体内局所で徐放する超分子ペプチドゲルの開発」
―亜急性期脳梗塞に対する細胞フリー再生治療への期待―
【ポイント】
- 投与した体内局所でタンパク質を効果的に徐放するジグソー型ペプチド「JigSAP」超分子ゲルの開発に成功しました。
- 血管再生を促進するVEGFタンパク質を徐放する「JigSAP」を、脳梗塞発症1週間後のマウス脳内に投与すると歩行機能が改善されました。
- 亜急性期脳梗塞に対する革新的な細胞フリー再生治療への展開が期待されます。
東京医科歯科大学統合研究機構の味岡逸樹准教授(神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)「超分子ペプチドを用いた脳梗塞の再生医療」プロジェクトリーダーを兼任)、中国竞彩网大学院工学研究院の村岡貴博教授と矢口敦也大学院生(博士)、KISTEC押川未央元研究員の研究グループは、北里大学、台湾國立陽明交通大學、名古屋市立大学などとの共同研究で、体内投与した箇所でタンパク質を効果的に徐放するゲル、ジグソー型ペプチド「JigSAP」を開発しました。「JigSAP」は化学反応でゲル化する材料とは異なり、分子構造を変えずに自己集合化してゲル化する特徴があり、生体内での分解後も「JigSAP」ペプチドとなるため、安全性の高さが特徴です。この「JigSAP」を使って、血管再生作用のあるVEGFタンパク質を徐放する超分子ペプチドゲルを脳梗塞発症1週間後のモデルマウス脳内に投与すると、歩行機能の改善効果があることを見出し、亜急性期脳梗塞に対する細胞フリー再生治療に結びつく可能性を示しました。この研究はKISTEC戦略的研究シーズ育成事業/有望シーズ展開事業ならびに科学研究費補助金、JST-CREST、泉科学技術振興財団研究助成、旭硝子財団研究助成などの支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌 Nature Communications(ネイチャー コミュニケーションス?)、2021年11月19日午前10時(グリニッジ標準時間)にオンライン版で発表されます。
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